近藤鷹男(32)フリーターが就職を決意するまで

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  □:閣下の隠し子⁉   □:放送事故キタ‼   □:閣下の対応紳士過ぎw   □:幼女ハアハア(*´Д`)   □:ブリザード様イケボでワロタ   □:仕込みじゃないの?    仕込みと思う理由は解る。サタニアスの公式ホームページや、ヨウツベチャンネルの概要欄にも幼女の存在――魔法幼女ラブリる☆アイリの事について記載はあった。    サタニアスにとって魔法少女が敵であり、その中でも最強クラスの力を保有するアイリと激戦ののち停戦状態にあること。アイリと再戦するために人間の信仰心が必要なこと。そして、バーチャルライバーとしての参加はほぼ見込めないということ。  仮に視聴者を驚かすための魔法幼女ラブリる☆アイリ登場の演出にしても、登録者数何万人突破記念(2万人記念は3日前にやっている)やチャンネル何周年記念とも合わない。そういうお披露目は視聴者を告知で集めてから行うのが基本だ。  それに俺には、俺だけにはわかる。サタン閣下にアイリと呼ばれた幼女は、決してボイスチェンジャーで造られたものではなく、声優の演技でもない。純粋な8、9歳の本物の幼女であることが。つまり、予期せぬ事故なのだ。  サタン閣下が画面に映る。そして、玉座に座り足を組む。 『諸君すまない。放送時間を過ぎてしまった。先ほどの女の子が気になっているようだから正直に話そう。彼女は――間違いなく魔法幼女ラブリる☆アイリだ』  コメント欄が様々な推測、考察で埋め尽くされる中サタン閣下は続ける。 『しかし、公式ホームページや概要欄にある通り、彼女がライバーとして登場することは今のところ無い。諸君には変に期待させてしまった事をここに謝罪しよう』  出来ればこのことは忘れてくれたまえ――とサタン閣下はシニカルに微笑み『では、また会おう』と、いつもの終了の挨拶で放送は切れた。  放送が終了し、画面が悪魔結社サタニアス生放送のサムネイルのまま。  俺は、余韻に浸る。
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