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第四話
ももは、船に乗っていた。
行き先は決まっている。きっと鉄鋼でできていて、それなりに頑丈で、多少の波にはものともしない、その大きな船は、ゆっくりと目的地に向けて海原を進んでいくはずだった。
——ももは、やさしいね
——ももちゃんって、頼りになるなあ
——伊賀利さんは、偉いわね
——ももがいてくれて、よかったよ
——ももじゃなきゃ、アイツダメだと思う
——ももちゃん逃したら、あの子、結婚できへんで
——わかってるって、ももはほんまにええ女やって
——ごめん、ももに甘えてたんやな
そう、あの時までは。
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