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やがて彼女の体を抱いたまま反転すると、シモンは光の注ぐ唯一の場所へとももを誘導した。
ひざの裏に、ひやりとしたシーツの感覚が当たる。ミモレ丈のスカートを履いているとはいえ、中は生足だ。その温度にももは恥ずかしくなって脚をよじる。
と、彼の手がニットの中へと忍び込んできた。
「んっ……」
繊細なシモンの愛撫に、頭の中で火花が散る。
そうして肌を許したことはこれまで何度もあるはずなのに、まるで、生まれて初めて、触れられるような強い快感だった。
指先で触れ、手のひらでなぞり、腹からゆっくりと這い上がっていく。その愛撫の慎重さとはうらはらに、キスは激しさを増していた。
もっと、触れてほしい。その手で、もっと色んなところを確かめてほしい。うっとりと瞳を閉じるももの思考は、すでにシモン・ロンベールという男に塗り潰されていた。
大きな手が背中に周り、ブラのホックに指が掛けられる。締め付けていた窮屈さから解放される。
——刹那、浮遊感がももを襲い、ももは男の胸元をぎゅ、と掴んだ。
ふっと背中にやさしくなにかが触れ、目を開いたときには、目の前には暗い天井と、そして、淡い光を浴びてきらめくグレーの髪がまみえた。
「ムッシュー」
ついに、石の台座に横たえられてしまったようだ。
首すじに男の熱い吐息が掠め、ゆっくりと下がっていく。背中の下敷きになっていた手がその肌をじっくりと味わうように、前へと戻ってくる。
どうしよう。ただ肌をなぞるだけなのに、全身に快感か駆け巡る。吐息は乱れ、もう正常のそれを取り戻すことは難しい。
ももは胸元を掴んでいた手を緩め、彼の逞しい肩をなぞり、そして、頭部へと添えた。
指がついにももの敏感な場所へと辿り着く。ふわりと膨らみを撫で、手のひら全体で包み込んだ。
「吸い付くような肌だ」
「っぁあ……」
はしたない声が漏れてしまう。それがなんとも彼女の中に残った理性のかけらを突いて、唇をきゅっと噛み締めてはこれから訪れる快感に耐えようとした。
シモンの手は、ももの胸を繊細に、執拗に愛撫していく。まるで花房に手を添えるように乳房をやさしくなぞっては、その花芯をキュッと摘む。容赦なく与え続けられる心地好さに、ももは男の髪に指を通し、必死に彼の頭蓋に、唇を押し付けていた。
「白いな」
たくし上げ、露わになったももの胸元を見てかシモンは呟いた。この部屋には誰もいないというのに、誰かに聞かれるのを憚るような掠れ声だった。これまでのどんな声より、婀娜っぽい。
「ああ、きれいだ」
吐息が掠める。女の体を見て呟くというより、カヴァネルの描くヴィーナスを見たときの声色に近いかもしれない。だが、どちらにせよ、もものあらゆる感覚を昂らせるには十分だった。
やわく乳房を揉みしだき、はあ、と熱い吐息を吹き掛ける。そして、ももの花芯をシモンが啄ばんだ。
「んっ……」
こんなの、声を抑えられるわけがない。
チロチロと舌で舐めては、ちゅう、と吸われて、ぴりぴりと足の先が痺れる。
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