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「ねえ、ハムスター、見に来ないの? うちに。」
私が話しかけた二人の女子達は、顔を見合わせた。以前、ハムスターの見学に誘った女子達だ。
「私達、夕方委員会あるからさ」
「そ、そうそう! なかなか時間なくって」
「委員会? 何の?」
「え……えっと、生き物委員会」
「じゃあ、ハムスターに興味あるんじゃない? かわいいよ?」
綺麗な髪留めをつけた女子が、もう一人の女子と見合わせながら三つ編みの先をいじっている。
「うちらが育ててんのウサギだからさ。ハムスターよりたいへんなの」
「そう。ウサギって、ハムスターと違って放っておくとすぐ死んじゃうから。マジで」
「……そうなの」
女子達が、なぜか鼻や口元を押さえていた。そんなに可笑しいだろうか。私は、お気に入りのピンク色のトレーナーをぎゅっと握りしめた。よく見ると、お菓子の食べかすや、ハムスターの血がついていた。
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