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「これ雪じゃないよ」
頬にみぞれがぴたぴたあたった。
「さむ」
ぶるっと身体を震わし、ふと横を見ると、ハムスターが凍死して白目をむいていた。
「またかよ……」
私は深いため息をつく。
「さっきまで生きてたのに」
きっとホースの水がかかって凍え死んでしまったのだ。一ミリたりともハムスターは動かなかった。
二階の窓から奈々が、キンタマを抱いて空から降るみぞれを眺めている。
「また、新しいの買いにいかなきゃじゃん!」
私は無理やりスキップを始めた。が、脚が痛いのですぐに止めた
その夜、食卓で私はうつろな目つきをして椅子に座っていた。
お腹をすかせた奈々が、二階から降りてきた。
「お姉ちゃん、また今日もママいないの?」
「うん」
「今日のご飯なに?」
奈々は無邪気な表情のままリビングの椅子に座った。
食卓の横にあるカレンダーは、2月22日を指していたが、私の頭の中でパラパラと日付が戻り始めた。
(続く)
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