ハムスターばいばい 第4話

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たまに、どしんと肉と肉がぶつかる大きな音が、ママの悲鳴が聞こえることがあった。そんな時、私はドキドキが止まらなくなった。もう止めればいいのにと何度も思ったし、実際「喧嘩しないで」と二人の前で泣いたこともあったけど、全て無駄だった。またどちらかが理由を見つけて怒鳴りあいを始めるのだ。そんなことが日常茶飯事で、その日も二人は意味不明なことを言い合っていた。 「だから子供をあの時、ちゃんとおまえが見ていればよかったんだよ」 「なんで私のせいなの? あんたも血をわけてる子供でしょ。全部わたしに押し付けないで」  「子供」とは私と奈々のことだ。それは理解できた。と同時に私はぞくっとした。「子供」っていう種類でまとめられたのが嫌だったし、とばっちりが私にも来るかもしれないと思った。
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