1人が本棚に入れています
本棚に追加
たまに、どしんと肉と肉がぶつかる大きな音が、ママの悲鳴が聞こえることがあった。そんな時、私はドキドキが止まらなくなった。もう止めればいいのにと何度も思ったし、実際「喧嘩しないで」と二人の前で泣いたこともあったけど、全て無駄だった。またどちらかが理由を見つけて怒鳴りあいを始めるのだ。そんなことが日常茶飯事で、その日も二人は意味不明なことを言い合っていた。
「だから子供をあの時、ちゃんとおまえが見ていればよかったんだよ」
「なんで私のせいなの? あんたも血をわけてる子供でしょ。全部わたしに押し付けないで」
「子供」とは私と奈々のことだ。それは理解できた。と同時に私はぞくっとした。「子供」っていう種類でまとめられたのが嫌だったし、とばっちりが私にも来るかもしれないと思った。
最初のコメントを投稿しよう!