ハムスターばいばい 第1話

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彼女は私と違って親にねだるのが下手くそだ。 私は、大人にねだるのが上手いので、欲しいと思えば何でも手に入れることが出来た。  例えば、私が着ているピンク色のトレーナーは、高い子供服だ。これは、クリスマスに親にねだって買ってもらった。一方、妹は親に「何が欲しい?」と聞かれても、「私は、明太子と白いご飯が食べたい」と、とんちんかんな回答をした。「せっかくのクリスマスなのに、明太子だなんて」と、私は妹を鼻で笑った。すると、彼女は私にこう言った。 「お姉ちゃんより、私ゲンジツテキだから」  現実という言葉の意味を、彼女はちゃんと理解できているのだろうか? 私はクリスマスの日からその言葉を忘れることが出来ない。
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