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その言葉を聞いたら、舌べろが渇いて、口のなかがいっきにさみしくなった。ドキドキが最高潮になっていた。息をするのも忘れてる。気がつくと私はおしっこを漏らしていて、足下に黄色い水溜まりが出来ていた。温かい液体は空気に触れるとすぐに冷たくなって、私の心を芯から冷やした。
「なんでおしっこ漏らすんだよ。きったな」
ママは立ち尽くした私に目もくれず、机の上に紙のお金を一枚置いて、家を出ていった。
私はそれからどれくらい立ち尽くしただろう?とりあえずおしっこがついた服を着替えて、畳の上で力尽きて眠った。このまま死ねるかな? 死にたいと生まれて初めて思った。
「お腹すいた~」
奈々が、甘えた声を出して帰ってきて、私は我にかえった。
「き、きょ、今日は、お姉ちゃんがご飯を作るね」
そうだ。奈々がいることを忘れていた。
慌てて鍋に水を入れた。お湯を沸かして、とりあえず賞味期限が切れてるレトルトカレーを茹でた。
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