0-1.異世界転生してしまったのか

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0-1.異世界転生してしまったのか

 ネオンがきらめく、窓越しに見える夜空の風景。  それに飛び込む勇気どころか、暇もない、パソコンとマンツーマンで向かい合う日々。 (あー……今日もエナジードリンクと携帯食料かなあ?)  就活で頑張って就職した会社は、いわゆるブラック企業という奴で。  私以外にも、社内には同僚、先輩、上司も結構残ったりしている。  これで、労働基準法に引っかかっていないのが不思議だが。  慣れは慣れと言うか、もう勤めて二年は経つが、私もなんとか慣れてしまっていて。  ただ、毎日が仕事漬けになってしまってて、食事も疎かになって、結構痩せてしまったのが難点だ。  でもそれは、私だけじゃない。  私だけでは……ないんだ。それが、少し……いや、だいぶ哀しい。  結局その日も、日付が変わった後になんとか上がれて。  今日は、少し贅沢にタクシーで帰ろうか、と。タクシー会社に連絡した後送迎してもらったはずだが。  何故、今。  私の目の前にぼやけてはいるが、木で出来た天井があるのだろうか? 「あーうー」 「ほら見て、あなた。あなたの事を探しているかもしれないわ」 「そ、そうかな? 抱っこしても大丈夫そう?」 「大丈夫よ、私とあなたの子だもの」 「う、うん」  そして、少しぼやけた視界の中。伸びてきた何かに抱えられてしまって、すぽんっと、抱き抱えられてしまったようだ。  そんなバカな、恋人にも枯れ過ぎた人生を送ってた私が、そうやすやすと男に抱き上げられるわけがない。 (あ、れ? 私体ちっちゃい?)  今頃変化に気づいたのだが、どうやら簡単に抱えられてしまった私の体はかなりちんまいようで。  笑って笑って、と声をかけてくれる男の方を見上げると、外国人っぽいがなかなかにハンサムだ。  隣に少し女の影も見えたが、首を試しに動かしてみると、可愛らしい女が私の顔を覗き込んできた。 「あら、あなた見て? ミリアが私の方を見てくれたわ!」 「君は母親だしね?」 「ふふ、あなたも父親でしょう?」  なんて事だ。  どうやら、私は。  知らぬ間に、どこかの赤ん坊に憑依してしまったのか?  もしくは、転生?  けど、まさかなーと思ってうろうろ首を動かしても動きにくいので範囲は狭い。  そして、姿見らしき、長い銀の板が見えた時。  私は確信してしまった。  銀に近い髪色に、紺のような深い青い瞳。  紛れもなく、私は。 『異世界転生』と言うラノベでは定番のテンプレに乗っかってしまったのだろう。  と言うか、明日のプレゼン出来たんだから仕事行きたい!と思う私は。  変な焦りで、自分がOLだった時に何かで死んだかもしれないと思わなかった。
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