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「菊川くん、‥好きです。よかったら私と付き合ってください」
放課後の帰り道。名前を呼び止められ、振り向くと、隣のクラスの話したこともない女の子が立っていた。
そして、突然の告白。
「‥気持ちは嬉しいよ。だけど、ごめんね。今は勉強に専念したくてさ、あんまりそういうのには興味がないんだ。本当にごめんね。でも、言葉にして伝えられるって勇気がいることだけど、素敵なことだよね。これからも友達として、仲良くしてくれるかな?」
にこ、と優しく笑いかける。
彼女はうっとりとした顔で俺を見上げ、静かに頷いた。
‥‥なあ~~~~~んてな!!!!!!
んなこと本当に思ってるわけねーーーーだろ!!
言葉にして伝えられるって素敵??まさか!キモキモ。まじキッモ。こんな胡散臭いキザみたいなセリフにときめくとか、ほんと脳内ぽわぽわお花畑。
告白いう自己中心的なイベントのために俺の自由時間がどんだけ無駄になってると思ってんだよ。言葉じゃなくて手紙にしろ。大体書いてあることは予想つくから帰ったらゴミ箱にポイ。そして俺はゲーム。な?完璧。それかメールで言えっての。あ、お前と俺、連絡先交換してないんだった。連絡先教えてない時点で眼中にねーことは明らかだろ。
そもそも、お前みたいなブスな女が俺と付き合えるわけねえだろ!!肌汚いしデブだし髪はボサボサ。もうちょい人間に近い姿になってから言えよ。
「菊川くん、ありがとう。時間とってもらっちゃって、ごめんね」
「いや、いいんだよ。こちらこそありがとう。」
頭をよしよしと撫でてやると、彼女の顔がトマトみたいに真っ赤になる。
単純な女、と俺は心の中で嘲笑した。
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