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「食べれそうか?」
「……んー……」
せっかく作ってくれたおうどんと、さっきからにらめっこになっている。
途中までは食べたんだけど、ぱたっと箸が止まってしまった。
食べたい。けど、食べられない。
最近、何を食べても半分くらい食べたところで、なんか生臭いっていうか、生々しい匂いを感じてしまう。
一口も食べられなくなっちゃったものもある。卵焼きとか……大好きなのに。
「無理はするなよ」
「ん……ごめんね、もうお腹いっぱい……」
残りは俺が食べるから遠慮なく残すように。……って、私の残したおうどんも、ちゃんと全部食べちゃってくれる。
作ってくれるのだけでもありがたいのに、作ってやったのに食べないのかとか文句言ったりしないのが、泣きそうにありがたい。私だったら、せっかく作ったのにとか言っちゃったり、言わなくっても思っちゃったりしそうだよ。
「……ちぃは、二人分食べないと駄目なんだよなあ」
何か食える物ないかな、って、お鍋を流しに下げながら、真剣に考えてる。
「大丈夫だよ。二人分っていうの、よく言われるけど、間違いなんだって」
「そうなのか?」
「この時期の赤ちゃんなんて、豆粒みたいなものだから、食べれないときは無理しなくて良いって……生活指導の助産師さんが言ってたよ」
洗い物は私がするねって言ったら、良いからとにかく寝ててくれって言われて、またソファに横になる。
こんなにゴロゴロばっかりしてたら、食べられなくても太りそう。
「そうか。……でも、もう少し何か食べれたら良いよなあ」
過保護な夫は、大丈夫って言っても、心配みたいで。
しばらく、何か考えていた。
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