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「ただいま」
「……おかえり……」
ソファに半分めり込んだまま、なんとか返事だけはする。
「大丈夫か、ちぃ」
「今日は……ちょっと、だめ……」
今日は、午前中からソファにぐったり沈み込んでいた。
清子さんちに行くのも、休ませて貰ってしまった。具合悪いって言うと心配するから、病院を口実にして。
それで時間が経つにつれてだんだんぐったりがひどくなってって、今はついにソファと一体化しちゃってる……。
「そうか。」
夫はソファの前に座り込んで、私の髪の毛がばさっと顔にかかっているのを直してくれて、よしよしって撫でてくれた。
手が冷たくて、気持ちいい。
「胡麻豆腐買ってみた。何か食べたくなったら、試してみてくれ」
「……ごまどうふ?」
「前に、何かつるっとしたのを食べたいって言ってたろ」
言った。
でも、牛乳寒天とか卵豆腐とかは生臭く感じちゃって、果物ゼリーとかプリンとかは口がべたべたして、思ったような「つるっ」は、見つからなかったんだ。
「ほら、これ」
「へー……」
私が食べれなかったら自分が食べるからって、お皿に一個開けてみせてくれた。
真っ白じゃない薄いベージュ色で、ぷるぷるしてる、四角いもの。卵豆腐とかババロアとかに、見た目は似てる。胡麻を、葛で固めてある?……らしい。
お豆腐に胡麻が入ってるとかじゃ、ないんだね……。
「……ちょっとだけ、食べてみてもいい?」
「ああ。好きなだけ食べて、止めて良いから」
夫に見守られながら、スプーンですくって、口に入れた。
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