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スマホが震えた。今度は通話で、慌てて出る。
「ちぃ姉っ?!なんか、いまっ、メール来たんだけどっ!」
「ああ……ごめん、愛想無いメールで」
確かに、愛想は無かった。一行だけ。
『芋掘りは俺が行きます』
……また、二度見してしまう。
「いやっ、それは良いんだけど、内容!!芋掘りに行くって、」
「うん。私の代わりに行くって、本人が……私が行っても心配で仕事にならないから、それなら自分が行っても同じか、むしろその方がマシだって」
「行っても、大丈夫なのっ?!」
「大丈夫。得意なんだって、芋掘り。」
呑気な返事に脱力する。
違うだろ。大丈夫か聞きたいのは、そこじゃない。
「や、俺が心配してるのは、子どもにまみれて相手しなきゃいけないって方で……」
小学生にまみれて、お母様方に混じって、芋掘るんだぞ。社交的に、大丈夫なのか。
「それも、大丈夫だよ。もう少ししたらパパになるんだから、慣れとくチャンスだし」
「そりゃ、ちぃ姉はそう言うかもだけど」
「違うよ。本人がそう言ったの」
「え」
……いま、なんて。
「そのまんま、『もう少ししたらパパになるんだから、慣れておくのに良い機会だし』って」
「パっ……」
パパと言ったのか、ご本人様が。
単語と見た目が合わな過ぎて、怖い。
その後ちぃ姉は、ダンナさんに電話を替わってくれた。
で、謝り倒しながら、当日の事とかいろいろ伝えたんだけど……
「よく分かった、ありがとう。愛香ちゃんとの遠足、楽しみだ」
って、ちぃ姉に替わる前に言われて、頭の中が真っ白になった。
楽しみなの?!小学生女子との芋掘り遠足、楽しみなの……?!
合わない!!……言われた事とイメージが、合わない……!!
「良かった、決まって!まなに電話しておくね。試験、頑張って!」
衝撃で頭の中が真っ白になったままだった俺は、最後に替わったちぃ姉にそう言われて、「うん。」って馬鹿みたいに返事した。
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