結婚することが決まった日(甘くて可愛くてとろけるもの、なーんだ?)

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結婚することが決まった日(甘くて可愛くてとろけるもの、なーんだ?)

  「なあ」 「なんですか?」  結婚するって事が、決まった日。  どこにも帰れなくなった私達は、二人で新宿に泊まることになった。 「明日帰る前に、買い物に行こう」 「買い物?」 「……指輪。」  左手を取られて、薬指にキスされる。  こんなことする人だったんだ。知らないことがまだまだたくさん有るなあって、くすぐったくなる。 「……私、要りませんよ?指輪」 「え?!……要らないって、まさか」  左手をにぎった手が、すごく驚いてる。  そんなに心配しなくても、良いと思うんだけど……私が逃げ過ぎて、トラウマになったのかも……。 「結婚はちゃんとするってば……そうじゃなくって」  握られてる手を握り返して、おんなじ様にキスをする。 「御茶席では指輪を外す事になってるって、知ってますよね?」 「ああ」  引っ張られて、抱き寄せられる。  もう逃げないから、心配しないで。  そう言ってあげたいけど、口で言っても通じるかどうか分からないから、抱き締め返した。 「あれは、指輪で器に傷を付けない様にって意味が有るんでしょう?指輪を買って貰ったりしたら、私、外したくなくなっちゃうから……それで器に傷を付けることになったりしたら、困ります」  抱き付いてた所からちょっと離れて、顔を見る。 「だって、私、あなたの奥さんになるんだから」  そう言うと、一瞬、びっくりした様な顔をした。 「……そうか……」 「そうですよ?」  やっと、ほっとしたみたいに笑ってくれて、今度は手じゃなく、唇に唇が重なった。 【……翌日、指輪代で肉買ってお騒がせした方々とすき焼きをしました(゚∀゚ゞ)】 
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