踏みしめて、一歩

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踏みしめて、一歩

昔見たドラマで、犯人が自首しようと決心するが警察署まで赴く勇気が中々出ない。ではどうするか。 今日はこの道路まで。 今日は道路の先のお店まで。 今日はお店から少し進んだ所まで。 非常にゆっくりではあるが日々目的地を決めて、一歩一歩、様々な想いを噛み締めながら最終的に警察署前まで辿り着くという描写を視たことがある。 ドラマをみていた学生時代の私から所謂【いい大人】にクラスチェンジしてあまり代わり映えしない日々にほんの少々鬱屈している身になった今の私は、たとえフィクションだったとしても少しだけ前述の粗筋に救われた気がした。 小さな小さな一歩でも確実に道は出来ているんだ、ほんの小さな違いでも最終的には大きな大きな違いになっているかもしれないんだ、と思ったから。何か少しだけいつもと違うことを取り入れただけでも日々は大事なものをしっかり残したまま変わるかもしれない、と希望が持てたから。 手始めに趣味の絵描きにいつも使っている色とは異なる色のクレヨンを使うところから始めてみようか。どうなるかは、今からこうして文をしたためる事で一年後か、或いはもっともっと先の自分が見返すことで確かめられるだろう。 今より遠くの自分への、電子タイムカプセル。
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