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懐から出してきた厚みのある白い封筒を頼久は夏菜の前に差し出す。
「なにか足らないものがあったら、これで買いなさい」
「えっ?
あの、ちょっと週末に一泊してくるだけなんですけど」
「だが、毎週のことになると思うし。
家具でも家電でも服でも車でも、いるものがあったら買いなさい」
……ということは、家具でも家電でも服でも車でも、ひょいと買えるくらい入っているということでしょうか。
「持っていきなさい。
本当は加藤でもつけてやりたい気持ちだが、それもかえって困るだろうから」
ふたりで食事をするとき、並んでソファでテレビを見ているとき。
常に、微笑み側にいる加藤を想像してみた。
うーむ。
でも、待てよ。
加藤さんも一緒に食事とかするよね?
妄想の中で、加藤と三人でテーブルを囲み、加藤を真ん中に挟んで、三人でソファに座ってテレビを見る。
……二人きりより落ち着く気がするけど、加藤さんが落ち着かないだろうし。
此処にいるのと変わりない感じになるから、社長がくつろげないかな。
などといろいろ考えている間に頼久が、
「いいから持っていきなさい。
お金でも、ないよりはあった方がなにかお前の助けになるかもしれないから」
と言ってくる。
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