週末はふたりきりです

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 使うつもりは毛頭ないが、受け取った方が頼久が安心しそうなので、とりあえず、受け取ることにした。 「……おじい様、ありがとうございます」 と言うと、頼久が少し涙ぐむ。  おじい様のお気持ちは嬉しいけど。  まるで、もう嫁に出る感じに盛り上がってるのが気になるな……、と思いながら、夏菜は立ち上がった。 「で、では、行ってまいります」  スカスカのキャリーバッグに、ほんのちょっと洋服と化粧品と、お金の入った封筒だけを入れ、夏菜は屋敷を出て行った。  みんなに見送られ、  何故か縁側の柱の陰から見送っている銀次にも見送られ、  夏菜は有生とともに、山を(くだ)る。  少し先を歩く有生が、 「それ貸せ」 と夏菜のキャリーバッグを持とうとした。
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