週末はふたりきりです

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 ……ほんとうに軽いな。  有生は夏菜のキャリーバッグを手に思っていた。  舗装されてない道だし、抱えて歩いた方が楽そうだ。  しかし、こいつ、一泊で帰る気満々だな。  指月が言ったように、ラブラブになって道場に戻らない未来なんて、何処にもなさそうだ。  というか、そもそも、たった一泊で夏菜の気持ちを変えられるような恋愛的技術が俺にはない……。  それにしても、 「頑張りたまえ」 と夏菜のじいさんに見送られたんだが。  ……なにをどう頑張ったらいいんだろうな?  手は出すなと言われたのに、と生真面目に思いながら、有生は下を見る。  少し広くなっている場所に車が待っていた。  前に立って待つ黒木がこちらに気づき、頭を下げてくる。
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