週末はふたりきりです

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 道沿いにある緑の向こうに箱を積み重ねたような不思議な形のマンションがある。  ん?  いつか見た気がするな、と思いながら、夏菜は有生についてロビーに入った。  エレベーターに乗り、 「此処、なにか見たことがある気がします」 と夏菜は呟く。  なにかエレベーターにも見覚えがあるような、と思ったのだ。 「誰か知り合いでも住んでるのか?  もう一軒の方にしようか?」 「あ、いえ。  大丈夫です」 と言うと、 「まあ、どっちも今は空いてる部屋だから、交代で使ってもいいな」 と有生は言い出す。  また、そんなときめくようなことを言わないでください、と夏菜は思っていた。  今の屋敷ではお弟子さんの出入りの関係で、夏菜の部屋もころころ変わるので、荷物は最小限しか持っていないし、部屋を好みに飾りつけようという感じでもない。  ……雑誌で見るような素敵なインテリアとか置いてもいいんだ。  結婚とか、社長と一緒に暮らすとかは不安しかないけど。  その一点だけは、なんだか素敵すぎて夢のよう、と他の心配事はさておき、思ってしまう。
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