生と死の狭間

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生と死の狭間

~スノードロップ~ 春を告げる白い花であり、別名は待雪草という。 花言葉は「あなたの死を望む」 薄れゆく意識の中で、私は浴槽のふちに寄りかかり、真っ赤に染まった浴槽を見つめている。 水に沈めた左手は冷えきり、感覚もない。 私は今、この家の風呂場で手首を切り死のうとしていた。 疲弊した心臓が、血液を送り出そうと必死に拍動しているのを感じる。 心臓がきゅっと収縮するたびに、血液が手首の傷から外に流れていく。 排水溝へ吸い込まれていく、浴槽から溢れ出た薄赤色の水。 きれい好きな優希のために、いつも掃除していた浴室が私の血で汚れていく。 優希と私は、この家で同棲している。 いや、同棲というような対等な立場ではなく、むしろ飼われている、と言うべきかも知れない。 お風呂場が汚れたこと、優希怒るかな。 でも、ここしかないんだ。 私には、ここしか…。 涙が、ほほを流れて落ちる。
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