生と死の狭間

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死が目前まで近づいてきたのだろうか。 俗にいう「走馬燈のように」ってやつかも知れない。 まるで夢を見ているかのように、私は自分の人生をぼんやり思いだしながら深い眠りに落ちていく。 何かが、ぼんやりと目に映る。 短い木の枝で土をつついている、おっかぱ頭の女の子。 ああーー。 これは私だ。 小さい頃から生き物が好きだった私は、暇さえあれば動物図鑑を見たり、水槽のメダカをじっと見つめ続けているような子供だった。 当時の私はアリの観察にはまっていて巣を棒でつついたり、死んでいるカナブンをアリの行列の先に置いたりして、じっと観察するのが好きだった。 アリは、カナブンを見つけると興奮気味に動きを速める。 しばらくするとアリ達は、何らかの信号を伝えて仲間を呼び寄せる。 カナブンを小さく分解する者、巣穴の中へ 運んでいく者。 その行動を見ていると、私までワクワクしてきて目が離せなかった。 懸命に働くアリ達は、とても、けなげで時間が経つのも忘れ眺めていたものだ。
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