12人が本棚に入れています
本棚に追加
それでも親がいないから寂しくてたまらないとか、毎日泣いていたという記憶は私にはない。
おそらく物心ついた時から施設にいたせいで、親がいないことへの感情の持ち方
自体が分からなかったのだと思う。
私にとって、施設が家であり、施設の職員さんや仲間と過ごすという事が当たり前であり、今、考えると意外と冷静に現実を受け止めていたのかもしれない。
ただ時折、形のない不安感に襲われ、自分の存在が消えてしまいそうな孤独に震えた。
親の愛情を受けたことがないという空虚感に、押しつぶされそうな感覚と息苦しさ。
(お母さんは、何で私を産んだのだろう)
(お父さんは私を知っているのだろうか)
(何で私は捨てられたのだろう)
最初のコメントを投稿しよう!