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おかしなことが起こり始めていた。
無となり消えてしまうはずだった私は、何かを感じ始めた。
不思議な事に、意識がはっきりしてきている。
背中には温かな心地よさを感じ、浴室の冷たさはそこにはなかった。
近くに誰かいるのだろうか。
うっすらと目を開けてみる。
軽く首を左右に振ってみるが、誰もいない。
風呂場ではないようだ。
真っ白な壁に反射する強い光が眩しくて、私はふたたび目を閉じた。
私は死んでいるのか。
確かに手首を切って大量出血したはず。
一体、どうなったのだろう。
手首を切ってから、そんなに時間が経ったとも思えないが、長い時間眠っていたのだろうか。
いったい、どれぐらいの時間が過ぎたのだろう。
数分なのか、数時間なのか、数日なのか、感覚はおぼろげでよくわからない。
私はどうなってしまったのだろう。
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