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冒険してみないか?
男は意気揚々としていた。どうやら自分が奇跡的に生きていた話が武勇伝らしい。
「え、精霊の加護。まさかあなたが…。」
「なんかおかしかったか。」
「いえ、なんでもありませんのよ。」
女は、目を丸くして驚いているのをフードでそっと隠した。精霊の加護。普通の人間なら聴き慣れない言葉にどうして動揺したのか。
「ところでお嬢様。そんな鎧を着てるってことは、ちょっとは心得はあるんだろ。どうだい、一緒に冒険してみないか。」
「ちょっ、いきなり何をおっしゃいますの。」
「いや、簡単な依頼なんだけどよ、パーティー組まねえと受けられない奴があるんだよ。頼む、どうか協力してくれ。」
男は女の目を覗き込んだ。
女は男の目を睨みつけた。
男は顔を綻ばせた。
女は顔を硬らせた。
…
……
………
「まあ、仕方ないですわね。」
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