酒場〜男と女の怠惰〜

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     〜怠惰な男の成れの果て〜  一瞬、酒場の空気が静まった気がする。しんみりした話の後は、どうしてこうなるのか。 「で、その騎士様は帰って来なかったみたいな口ぶりだけどよお。」 「もちろん、そういうお話ですわ。騎士様は大陸間戦争において先遣隊として出兵なされて…。そういうこともありますでしょう。」 「ああ、聞くのは野暮だったな。」 「けれど、こんな素敵な失恋、なかなかございませんわ。」 「へ。」 「騎士様は出兵が決まり、あの日は父にお礼の言葉だけ言いに来たそうですわ。わたくしも最後のお別れができて嬉しかった。なんてロマンチックですこと。」 「へえ。お嬢様は何を考えてるのやら。」 「だから恋はやめられないのです。ところで、そんなあなたはどうですの。自暴自棄になって、絶壁からどうなりましたの。」 「ああ、それだがな。」
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