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20時を過ぎた頃。
「あとちょっとで終わるから久呂美ちゃん先帰っていいよ。駅まで距離あるし終電逃しちゃうよ?」
PC画面を見つめたまま私は口を開いた。
「そんな由紀先輩より先に帰れないですよ!元々私のミスで先輩は関係ないのに……」
しゅんと久呂美はうつむいた。小柄な彼女は小動物のように可愛らしいが、今はさらに小さく見える。
「いいよ。いいよ。気にしないで。去年のデータも参考になるからって一緒に渡しちゃったの私だし。うちは電車使わないで帰れるから。」
苦笑いしながら久呂美に目をやると、久呂美は申し訳なさそうにこちらを見つめていた。
「でも……」
「いいから。いいから。さ、明日も仕事だし、あとは私1人で大丈夫だから。あ、でも明日のランチは久呂美ちゃんのおごりね?」
久呂美の言葉を遮って、なかば強引に久呂美を退社させた。
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