1.クロミ

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1.クロミ

「こんなところで寝てたら風邪ひきますよ?」 目を開けると小さな白ウサギが、くりくりと大きな赤い目でこちらを覗きこんでいた。 「…?!!!うさ!うさぎが喋って!うさぎ?!」 ビックリして声が裏返った。 「うさぎは喋ったらいけないんですか?せっかく心配してあげたのに…」 白うさぎの耳が、しゅんとうなだれた。 「え…あ、ごめ…ちょっとびっくりして…」 しどろもどろに謝る私を見て、白うさぎがにっこりと笑った。 「怪我はしてないみたいですね。ところで黒うさぎさん。あなたはどこから来たんですか?お名前は?」 (黒うさぎ?はて、自分の他に黒うさぎも近くにいるのだろうか?) 辺りをキョロキョロ見回したが他に生き物の気配は感じられない。 「どうしたんですか?誰かお探しですか?」 白うさぎは心配そうに尋ねた。 ふと横を見ると大きな湖がある。 「……。え?!!!」 黒うさぎが水面に映っている。 「は??え?なん…うさぎ?!!」 またしても変な声と言葉が出る。 さっきまで会社にいたはずだが、パソコンの画面を触ってから記憶がない…。 というか、目が覚めたら白うさぎがいて…。 黒うさぎになってる??!!
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