5人が本棚に入れています
本棚に追加
1.クロミ
「こんなところで寝てたら風邪ひきますよ?」
目を開けると小さな白ウサギが、くりくりと大きな赤い目でこちらを覗きこんでいた。
「…?!!!うさ!うさぎが喋って!うさぎ?!」
ビックリして声が裏返った。
「うさぎは喋ったらいけないんですか?せっかく心配してあげたのに…」
白うさぎの耳が、しゅんとうなだれた。
「え…あ、ごめ…ちょっとびっくりして…」
しどろもどろに謝る私を見て、白うさぎがにっこりと笑った。
「怪我はしてないみたいですね。ところで黒うさぎさん。あなたはどこから来たんですか?お名前は?」
(黒うさぎ?はて、自分の他に黒うさぎも近くにいるのだろうか?)
辺りをキョロキョロ見回したが他に生き物の気配は感じられない。
「どうしたんですか?誰かお探しですか?」
白うさぎは心配そうに尋ねた。
ふと横を見ると大きな湖がある。
「……。え?!!!」
黒うさぎが水面に映っている。
「は??え?なん…うさぎ?!!」
またしても変な声と言葉が出る。
さっきまで会社にいたはずだが、パソコンの画面を触ってから記憶がない…。
というか、目が覚めたら白うさぎがいて…。
黒うさぎになってる??!!
最初のコメントを投稿しよう!