164人が本棚に入れています
本棚に追加
家で一人、敦を待ったが日付けが変わっても帰ってこない。
電話もつながらず、LINEも既読にならない。
そして午前四時を過ぎた頃、用意してあった上等なワインを一人で飲み干した勢いで、ついに敦の職場が見えるこの場所まで、来てしまったのだ。
「こんな時間にどうしたんすか!?」
家に帰る気にもなれず、ぼんやりと欄干を握りしめていた私は、知らないアフロヘアーの男性から声をかけられる。
声の調子から、年齢は二十五才の私と同年代だろうか。
お前こそどうしたんだよと思ったが、向かいのコンビニ袋を手に下げており、何をしていたかは明らかだ。
私はどのように見えるのだろう。酔っぱらい?川に身投げするとでも思われた?
私は、投げやりな気分になって、ぶっきらぼうに答える。
最初のコメントを投稿しよう!