442人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
「……そういうこと言ってると、俺だっていい加減に我慢が……」
「我慢なんて、しないでください」言葉の途中で、言い被せる。
「……ハァ」と、鳥羽さんが息を吐いて、「おまえだいぶストレートな物言いだが、酔ってんのか?」仕方なさそうに口にする。
「酔ってますよ。酔ってなきゃ、こんなこと言えませんから」
缶ビールを握りしめたままぼそぼそと言う。
「……俺だってなァ、いつ抱いてやろうかって……」
鳥羽さんがひと息をついて、
「……ただそういうのは、なし崩しでやっていいもんでもないだろう」
ビールを一口含むと、
「タイミングを見計らってたんだよ、こっちも…」
ごくっと呑み下した。
ビールが流し込まれた喉元が上下するのを見つめていたら、
「……タイミングって、何ですか?」
いよいよ酔ってきて、絡むような口調になってくる。
「俺は、タイミングなんか気にしないで、してほしかったのに……」
ぶつぶつと呟くと、
「……だったら、」という低い一声とともに、テーブルにトン…と空き缶が置かれた。
最初のコメントを投稿しよう!