449人が本棚に入れています
本棚に追加
「いえ、そんなことは……」赤面しそうになり、うつむいて首を横に振る。
「俺は、不愛想で怖がられることも多いから、もし君にもそう思わせてたら悪いと思ってな」
「いえ、本当にそんなことは……」
それしか言えずに首を横に振り続けるのに、
「……君は? 名前はなんて?」
そう訊かれて、
「……桜井です。総務課の…桜井 渉と言います。自己紹介が後になって、すいません」
「ほら、またそうやってすぐ謝る」
鳥羽さんがクスリと笑う。
「そんなに恐れられてんのか、俺は?」
首を振ることしかできずに、「あんまり年上の方とは、こんな風に話す機会もなくて……」ぼそぼそと言うと、
「そう、か…」と、鳥羽さんは頷いて、「君は、年は幾つなんだ?」尋ねてきた。
「25です」答えると、
「俺とは、一回り以上も違うんだな…」
そう話して、ふん…と鼻の先で笑った。
最初のコメントを投稿しよう!