前篇

14/34
前へ
/57ページ
次へ
……酔って、自分が一体何を口にしたのかも知れずに、 ふと気づくと、身体がベッドの上に横たえられていた。 「……あっ、」 起き上がり、どこなんだろうかと辺りをぼんやりと見回す。 誰かの部屋のようで、まさか鳥羽さんのマンションでは……と、勘づいた瞬間、酔いが一気に吹き飛んだ。 さすがに酔いつぶれて部屋に泊めてもらうとかあり得ないと、慌てて鳥羽さん本人を探す。 けれど寝ていたベッドどころか、部屋のどこにも彼の姿は見当たらなくて、首を傾げた矢先── ベランダに通じるサッシ窓が開いていて、僅かな風が室内へ吹き込んでいるのに気づいた。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

449人が本棚に入れています
本棚に追加