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帰ろうとして、ふとまた煙草を吸う手の仕草に目が惹き付けられた。
視線に気づいたのか、一瞬の間があって──
吸い差しを消し、ちらりとこちらを見た鳥羽さんが、
「……好きなのか?」
と、ふいに訊いてきた。
「……えっ?」と、思わず聞き返す。
聞き間違いでなければ、『好きなのか?』と尋ねられた気がした。
「……好きなのか? 俺の手が」
そう付け足した鳥羽さんに、じっと手ばかりを見ていたことに気づき目を逸らした。
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