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笑いが収まると、短い間が訪れて、
鳥羽さんが手の中のライターを持て余して、手持ち無沙汰に金属製の蓋をカチッカチッと開け閉めをする。
自分も唐突にキスをされたこともあり、この後どうすればいいのかもわからずに、棒立ちのままその手の動きを見るともなく見ていたら、
「……その目だよ」
と、ぼそりと言われた。
「え…?」と、顔を上げると、
「……いつも、見てたよな? 俺のこと」
そう訊かれて、気づかれていたんだと思う。
「……あんな風にいつも見られてたら、こっちだってさすがに意識くらいするだろうが」
鳥羽さんが言って、
「そうしたら、いきなりの触られたいとか……」
耳元にふっと唇を寄せると、
「もう、襲えってことなんじゃないかと思って」
低く声をひそめた──。
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