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目の前に当の彼がいることもあっていよいよ頭がそこから離れなくなり、なんとか思考を逸らそうとして黙々とビールを飲んでいたら、
大して強くもないのにガブ飲みをしたせいで、俄然酔いが回ってきた。
「顔赤いぞ、おまえ…」
言う鳥羽さんの顔が、二重に揺らいで見える。
「赤いのは、あなたのせいですから…」
「酒じゃなくて、俺のせいなのか？」
「……そうです」何を言ってるんだろうと思いながらも、回る酔いとともにますます頭が働かなくなっていく。
「……鳥羽さんが、ちゃんと抱いてくれないから、」
ダメ押しの一口を飲むと、もう自分でも何を言ってるのかよくわからなくなっていた。
「……そこなのか？」
と、問い返されて、
「そこです……」ほとんどオウム返しに口にすると、自分がその前にどんなことを言っていたのかも思い出せないままで頷いた。
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