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「……俺の名前…覚えてて…」
驚きが小さく口をつく。
どうでもよくなんてなかったんだと、本当に本気で俺のことを考えてくれたんだという嬉しさが胸を湧き上がる。
「……ぶつぶつ言ってないで黙っとけ」
「…はい…あっ…」繋がったまま、身体が仰向けに返される。
「……どれだけ俺を振り回すんだよ、おまえは」
貪るように口づけられて、
「……これ以上本気になれば、もう後戻りもできないだろうが」
ふぅーっと熱を孕む息が吐き出される。
「後戻りなんて…そんなの、しなくていいです……」
額に汗がふつふつと浮いて滲む彼の顔を見つめる。
「……おまえは若いから簡単に言うが、十以上も違えば気にするに決まってんだろ。俺がおまえのこれからを、奪うみたいで……」
ぼそりと付け加えられた一言に、鳥羽さんの真剣な想いが伝わるようで、
「……俺は、奪われたいです……全部、鳥羽さんに……だから、」
と、その背中に抱きついた。
「だからこれからも、ずっといてください……俺と」
「……バカ野郎」
呟いて、ぐぅっとさらに奥へ押し入ると、
「……どうなっても、知らねぇからな…」
言葉とは裏腹な優しげなキスを返して、
「……いるからずっと。だからもう、俺のせいで不機嫌になんてなるな…っ」
腰を強く打ちつけた。
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