百円ハグ

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百円ハグ

 夕暮れ時の駅に続く道。  表通りから一本入ったところにある道は、人通りもまばらだ。  トモエはそこに立っていた。 「百円ハグ、いかがっすかー」  長方形に切った段ボールに「百円ハグ」と書いたものを手で持ちながら、彼女はやる気なさげにそう繰り返していた。 「百円っすよー。こんな小柄な娘っ子とハグできるチャンス、なかなか無いっスよー」  確かに彼女は背が低かった。  百五十あるかないかぐらいだろうか。  顔だちは可愛らしいが、その目にはあまり輝きが無い。右の頬に小さな赤いハートが描かれていた。ペイントなのかタトゥーなのか、薄暗くなり始めた今は一見すると分からない。  もう日は傾き、時刻は夕方になりつつあった。
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