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その話は私も知っている。長谷川さんの話はママ友の中でも有名で、今朝も仲の良いお母さんとその話になったくらいだ。
その直後にバタンという、ドアを閉める音と一緒に「ただいまー」という男の子たちの声が聞こえてきた。隣の村田さんの兄弟。上の子が小学4年生で、下の子は2年生。
そういえば、向かいの桧山さんも4人家族の2人姉弟。角の家の中田さんに至っては5人家族の3人兄弟で真ん中が女の子。
あらためてココロを見ると、物欲しそうにこちらを眺めている。
確かに、近所で一人っ子はうちだけ。それって教育上どうなのかしら。少し歳は離れてしまうけど、今からでも弟か妹がいた方がいいのかな。
でも、兄弟ってトラブルも多くて大変なのよね。私もよくお兄ちゃんとケンカしたし。年が離れるとなると、よりこの子に負担もかかるだろうし。
私が悩んでいると、ココロは「ママ~」と心配そうに声をかけてきた。私が難色を示していると思ったのかな。
『私は構わないけど、弟や妹の面倒を見るのって大変だと思うよ』
「でも~ ひとりっこなの…こころだけだし」
ココロはそう言いながらモジモジしていた。ふーむ、このお願いを無下にしてしまうのも母親らしくない気がする。
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