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私はココロをじっと見て、そして言った。
『じゃあ、ちゃんとこころがお姉ちゃんになれるか…確かめてみようか』
そう切り出すと、ココロは真剣な表情で頷いた。こんなに真剣な態度をとられると、私も後戻りはできない。
『今日は何の日?』
ココロは"えっ…?"という表情のまま後ろを見た。そこにはカレンダーがかかっていて、彼女は眺めると、すぐに納得した様子で頷いた。
「わかった! パパのたんじょうび!!」
さすがはココロ。私は胸中で娘の察しの良さに舌を巻いた。
『大正解。いつものケーキ屋さんに行って、お父さんと私とこころ…3人分のケーキを買ってきて』
私はそう言いながら財布を出した。
娘がお気に入りのポシェットを持ってきたところで、私は千円札と小銭、ケーキ屋さんのカードを入れる。それをココロに手渡すと、彼女は言った。
「ケーキをかってこれたら、かんがえてくれる?」
『お父さんに相談してみるね。でも…こころも我慢したり、頑張ったりしなきゃいけないよ。それでもいい?』
ココロは黙ってうなずいた。
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