最初の関門

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最初の関門

『車とか、バイクに気を付けるのよ』 「わかってるよー」  ココロはそう言うと手を振った。その姿はとても小さく、家の前の単車線の道路でさえも広い道路に見えてしまう。身長が120センチメートルしかないから当たり前だよね。  私もまた家の鍵を手に取ると、娘の姿が見えなくなったところで外に出て玄関に鍵をかけた。  ココロだってまだ小学1年生。この辺りには危ない運転をするドライバーもいるし、見ていないと心配になる。距離を取れば娘も気づかないだろう。  目的地のケーキ屋さんは、自宅からおよそ500メートルほど離れた場所にある。住宅街の一角にあり近所でも評判の店だ。  娘はゆっくりとした足取りで単車線の道路の路肩を歩きだした。ここは通学路としても使っている道だから問題ないよね。  家の前の角を曲がり坂道を下り始めた。とりあえず順調そう。ここは下り坂だけど見通しもよく、相当不注意なドライバーでもない限り、娘を見落とすことはない。  下り坂を通り抜けると、娘は表情を変えて立ち止った。
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