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失敗作「焼肉屋に友の位牌を持ち込んで」
【ストーリー】
無類の焼肉好きだった盟友が童貞のまま死んだ。遺族から友の位牌を預かり、大阪・鶴橋の焼肉屋にやって来たモテない男同盟の西・達也・久那・ウドの四人。
落ち着きのないＡＤＨＤの西は、何かというとすぐに立ち上がる。
「立つな、西。位牌！」
仕切りの達也が西に指示する。西は友の位牌をテーブルに置こうとするが、手先が不器用なために位牌は小皿に倒れ、タレが飛び散る。
すると掃除魔の久那が慌てて、掃除をしようと立ち上がる。
「立つな、久那。掃除魔！」
達也が制すと久那が座る。そこへ愛すべきウドが、こぼれたタレも気にせずに、勢い込んで久那に聞く。
「で、どうやった？『ディナーデイト話法』」
久那は以前、ディナーデイト話法で意中の女の子からバレンタインチョコを貰うのだと言っていた。ウドはその後の進展を聞きたいのだ。
「ホワイトデー、ないで」
久那はポツリと答える。
「「マジ？ 嘘……」」
達也とウドが声を揃えて落胆する。どうやら久那は、チョコを貰えなかったようだ。だから今年も、ホワイトデーはナシなのだろう。西だけがケロッとした顔で聞いている。
久那は続けて言う。
「なくなった」、と。久那によると、ホワイトデーという制度そのものがなくなったらしい。
「い !?」
さすがにこれには西も驚く。
「廃止になった !?」
驚愕する三人。ホワイトデーどころか、バレンタインデーさえ経験したこともないのに。
これまでも大型ネット掲示板で、「今年からクリスマスは廃止になりました」というヘッドラインを見たことはあったが、とうとうホワイトデーまで廃止とは……！
童貞のまま死んだ盟友も、草葉の陰で泣いていた。
【回文】
「立つな、西。位牌！ 立つな、久那。掃除魔！」
「で、どうやった？『ディナーデイト話法』」
「ホワイトデー、ないで」
達也・ウドで、
「「マジ？ 嘘……」」
「なくなった」
「い !?」
「廃止になった !?」
【書き下し文】
たつな、にし。いはい！ たつな、くな。そうじま！ で、どうやった？ ディナーデイトわほう。ホワイトデー、ないで。たつや・ウドで、マジ？ うそ……。なくなった。い !? はいしになった !?
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