小学校、卒業の記憶及び、卒業後文集。

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9cc5484a-2823-414e-982e-f142d7624aa7  僕は那美過(なびか)第一小学校、第三十回卒業生、六年の同窓会で、世話役をしている。  那美過(なびか)第一小学校、六年の同窓会は、いつも欠席をしていた。  五十歳を過ぎた頃から、小学校時代が懐かしくなり、出席するようになった。それ以降は、数人いる世話役を、引き受けている。  地元の法律事務所で金曜の夜、世話役の集まりがあった。女性弁護士の本田さん。旧姓は村田さんの事務所だ。  僕が提案して、卒業文集ならぬ、小学校の思いでを振り返えり、文集を書くことを提案した。名前は“卒業の記憶及び、卒業後文集(そつぎょうごぶんしゅう)”だ。  ほかの人は忙しく、僕一人だけが書いて、同窓会当日、先生にお渡しすることになった。  帰宅して、小学生気分に戻り、当時を思い出しながら、卒業文集の委員になった思い出を書く。 ***  僕は、那美過(なびか)第一小学校(しょうがっこう)六年一組、奥村(おくむら)崇高(むねたか)。  夏休み明けに、担任のひなこ先生から、僕だけが職員室に校内放送に、呼び出されました。また何かを叱られるのかと、思いました。 「奥村君に卒業文集の委員をして欲しいの」 「先生、分かりました」  ひなこ先生から、原稿用紙の束を渡されました。ひなこ先生の背中を追いかけながら、廊下を歩きます。  教室に先生と一緒に入ります。着席しているクラスみんなが、一斉に僕の顔を見つめます。ひなこ先生と一緒だからでしょう。とても緊張しました。  教卓近くで、先生がみんなに話します。 「みんな聞いてね。奥村君が卒業文集の委員に立候補してくれました。卒業文集を書いて、一週間後までに書いて、奥村君まで提出してください」  立候補でなく指名されたのに、ひなこ先生は、僕に顔だけを巡らせながら、微笑みかけます。 「みんな、卒業文集を書こう!」  僕は声が震えました。 「奥村君大変だろうけど、頑張ってね。先生が原稿用紙を配るから、自分の席に戻って良いよ」 「僕が配ります」 「偉い!」  一番前の席に座る人に、後ろの席の人数を自分で数えながら、原稿用紙を渡して行きます。  原稿用紙は後ろの席まで、クラスメイトが手渡しでまわって行きました。 「先生、原稿用紙がありません」
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