小学校、卒業の記憶及び、卒業後文集。

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 村田さんが、一番後ろの席で、手を上げています。村田さんは男子の僕より身長が高いのです。背が高く、視力が良いクラスメイトは、一番後ろの席になるものです。 「一番後ろの席の人で、原稿用紙がなかったり、余ったりしたら手を上げてね」  ひなこ先生が、わざわざ言います。小六にもなったら、最後尾の生徒同士で、言われなくても、融通しあって欲しいです。  先生でなく、僕が配れば、数え間違いくらいあります。結局、ひなこ先生が、教室の後ろに行きます。原稿用紙を受け取ったり、配ったりしています。 「ありがとう奥村君、自分の席に戻ってて良いよ」 一学期は確か、最前列で教卓前でした。授業をサボれない、疲れる席でした。  自分の席に戻ればは、涼しい風が肌に触れます。天井を見上げれば、エアコンの吹き出し口があります。  エアコンと言えば、ひなこ先生が夏になり、冷房が苦手な子に、手を上げさせました。手を上げた子は、エアコン吹き出し口から離れた席になりました。  しかし、後から、暑いとか言い出す子。冷房が寒くてつらそうな子を、ひなこ先生が見つけて、声をかけてくれました。熱がりの子、寒がりの子、二人の間で席替えが行われました。 「じゃあ、みんな、ホームルームは卒業文集を書いて」 「先生、何を書いて、どのくらいの文字数を書けば良いんですか?」  挙手しながら、村田さんが質問しています。書く内容より、僕は文字数を計算します。作文は原稿用紙の八○パーセントを越せば、大丈夫なはずです。  ひなこ先生が優しいので、80パーセントをより、やや少ない文字数でも、再提出をさせませんでした。村田さんは、分かってて、わざと質問しているのです。
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