君と花火をもう一度2

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君と花火をもう一度2

「えっ」 「私たち、この町しか知らないじゃない」 「ま、そうだけど」 「ねえ、行こうよ」 「うん」 「どうする、今度の日曜日とか」 「いいけど」 「じゃ、決まり」 「裕也の店に行くね」 「分かった、何時」 「そうね、9時でどう」 「分かった」 そして当日、僕たちの小さな冒険が始まった。 僕らの隣町は、「レンガ通り」って商店街があり、けっこう大きい。 何だってある。 でも、子供だからお金ないし、買い物はあまり出来ない。 当日、いつもの赤いスカートでなく、水色のスカートに花柄のワンピースを着た 華が、僕の店を訪ねて来た。 「裕也」 「あっ、どうした、その恰好」 「ちょとね、おしゃれしたの」 「似合わねえな」 「うるさい」 「さあ、行くよ」 「分かった、ちょっと待って」 「早くね」 「ラッキー、母さんが300円くれた」 「私も400円持ってる」 「僕たちお金持ちぃ」 「そうかもね」 「じゃ、行こうか」 「うん、でもどこ行く」 「そうね、まずレンガ通り歩こう、あっそうだ、アイス最中が超美味しい店があるって」 「へー、どんなだろ」 「よくテレビで紹介されてるよ」 「何だかよさそうだな」 店の名は「スイートピー」 「何だか、違う店のような名前だな」 「まっ、いいじゃない」 「おっ、50円か、これなら買えるな」 「うん、買おう、買おう」 夏澄は満面の笑顔ではしゃいでる。 「おししいね」 「うん、何だかしゃりしゃりしてるな」 「不思議な味ね」 「こんなの初めてだな」 「言えてる」 「あー美味しかった」 「ねえ、港に行ってみようよ」 「ああいいけど」 「この町には海上自衛隊があって、軍艦や潜水艦が見れるらしいよ」 「ほー、凄いな」 「行こっ、行こっ」 柑奈は僕の手を引っ張って港に向かった。 そこには沢山の軍艦や潜水艦が泊まっている。 「あー、迫力あるな」 「そうだね」 二人はつないだ手を離さない。 小さな手から暖かさが伝わってくる。 潮風に拭かれて髪をゆらす夏澄の横顔がかわいい。 ちょと照れた。 「おなか空かない?」 「確かに、アイス最中しか食べてないもんな、でもお金あんまりないぞ」 「中身がぎっしり詰まったメロンパンがあるらしいよ」 「うまそうだな」 「80円、これなら買えるわよ」 「でもあんまりお金使いたくないし」 「わかった、じゃ半分こして食べよ」 「それがいいな」 港を後にして、その後もレンガどおりで遊んだ。 「そろそろ日がくれそうね」 #恋#小説#デート#初恋#港#好き#幼なじみ#レンガ#メロンパン#アイスクリームce3e02ae-959f-46e2-94b0-fa65b5e3da04
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