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でも、好きだから、よく見てみたいって思うんじゃないか。
それでも、あたしの後先考えなかった行動に、このトノサマガエルはそれこそ迷惑してるんじゃないかと思い始めた。
2日たっても、エサを食べない。
鳴いたりもしない。
あたしがこの子だったら、きっと絶望してる。
家から遠くに連れてこられて、大好きだった、草や土も全然無い。
怖いのは、上から横からでかい顔の人間が、のべつまくなしにのぞいてくること。
エサの虫も飛んで来ない。
このまま、あたしはここで干からびてしまうんだ。いやだー!
「パパー。明日の土曜日に、稲刈りしたとこに、連れてって」
「ああ? どうした」
「この子、やっぱり逃がしてあげる。エサ食べないし」
パパは、うんうんとうなずく。
「そうか、そうか。まあ、記録だけ書いとけ」
「うん。そうする」
トノサマガエル
色 : 黄緑、茶色、黒、アイボリー まだら。混ざりあう。
大きさ : 5㎝
とくちょう : 顔は細い。足は長い。
みつけたところ : 田んぼ
その他 : このカエルは、1回も鳴かなかった。
つぎの日、稲刈りをした田んぼにやってきた。
「じゃあね。ののん家に来てくれて、ありがとね。バイバーイ」
カエルは、そんな力が残ってたんだと思うぐらい大きくジャンプした。
そして、あっという間に見えなくなってしまった。
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