始まりの日

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始まりの日

 暗く、何もない部屋に一人の男が椅子に座っていた。その男は、携帯電話を手に持ちダイヤルを押して誰かに電話を、かけて静かにこう言った。  「静根君、いきなりなんだが、君に特別任務を与えよ。私の甥っ子である諭を突然だがわが組織の一員として迎えたいと思う。なので、私のもとに連れて来て欲しい。」  静根は、それを聞いてグッと息を飲んだ。それから、静根はこう返答した。  「本当にそれでよろしいのでしょうか。所長、諭君は貴方の甥っ子ですよ。そんな危険な目に合わせてよろしいのでしょうか?」  電話口の男は、一回ため息をついてこう述べた。  「はぁー。何回も前にも言った筈だ。あれを使えるのは諭しかいないんだ。分かってくれたまえ静根君。では、今夜の0時にこの部屋に待っているからな。では、頼んだぞ」  男は、電話を切った。そうすると、早速静根はスタスタと自分が停めている駐車場まで歩き始めた。  (さて、この時がついに来てしまったのね)  静根は赤の86の車に乗り込んだ。キーを取り付け、サイドブレーキを解除し、諭が住んでいる東京まで車を走らせた。  (その頃、、、、、、)  「起きなさい!いい加減にしないとまた遅刻するわよ!」  「今日から始業式なんでしょ!諭!」  諭は母親から頬っぺたを抓られながら眠気がありながら無理矢理起こされた。  (眠くて、たまんないのに、、、、さらに母親から朝からギャーギャー言われて。マジ朝から気分が悪い)  諭は寝ぼけながらも歯を磨き、学生服に着替えて、朝食であるハムエッグとトーストを口一杯に頬張った。口の中にモグモグと噛みながら学生カバンを持ってスタスタと玄関口まで歩いて靴を履いて機嫌が悪そうに大きな声でこう言った。  「いってきまーす!」  玄関のドアを開けてみると、そこには金髪で美男子で諭くらいの年齢の男の子が立っていた。その男の子は分かり切ったようにこう言った。  「おう!おはよう!やっぱりこんな時間になったか」  この、金髪の男は篠宮信。アイルランド人のクオーターである。クールで女子からもモテモテでバレンタインデーとか十数個ももらえる奴。だが、最近彼女と別れてそれのせいか最近2次元の女性に興味を抱き、現実世界の女の子に興味がなくなった、、、、今風に言うと「残念なイケメン」  篠宮とは、小学生からの付き合いで今でも親友である。  いつもと変わらない平凡な毎日が続いてたのであるが、この日をきっかけに諭の運命は変わっていく。  諭と篠宮はお互いにアニメや最近流行っているJPOPについて語り合って楽しい時間はあっという間に過ぎた。気が付けば校門近くまで着いていた。  その校門に入ろうとした時であった。カバンに入っているスマホがブーブーとバイブレーションをし始めた。諭はカバンからスマホとって見てみると、電話の相手は「非通知」と書かれていた。諭は怪しげにタップしてスマホを耳元にまで持っていた。  「このスマホの電話番号は諭くんのかしら?」  諭は何も躊躇なく、返事をしてしまった。  「はい、そうですけど、、、どちらさまですか?」  電話口の女は、元気にこう言った。  「私の名前は灰崎静根。あなたの叔父も所属しているMEGUの企画部担当の者です」  「今から諭君が通っている学校に迎えに来るからよろしくね!じゃあ、またね~」  と言って、静根は電話をプツンっと切った。  篠宮は、諭の電話の会話内容から怪しげな顔をしてこう言った。  「おまえさあ、彼女ができたことがないからって出会い系までに手を出すことはないだろう」  諭は何がなんだかわからず。スマホをとりあえず電源を切って、カバンにしまった。そして、諭と篠宮は再び教室へと向かうために歩き始めた。  確かに、自分の叔父である江崎守は政府直属のMEGUと言われている組織に所属していると聞いていたのだが、なにを目的に、なにをしているのか家族や身内までも全く知らせていないかったのである。今更になって、なぜ自分を欲しがっているのか諭にもわからなかった。  下駄箱に上履きを取って履いて廊下を二人が歩いていると血まみれで何人もの生徒たちがを倒れていた。  篠宮はまだ息がある何かで殴られた女子生徒を頭を起こしながら、こう呼びかけた。  「おい、大丈夫か?喋れるか?」  それを微かに聞こえたのだろうかその女子生徒は最後の力を振り絞ってこう呟いた。  「はや、、く、、、にげ、、、て」  「まだ、、、、、あいつはここにいる」  諭は校内でなにが起きたのか分からず、なにもどうすることもできなかった。  篠宮が呼びかけていた女子生徒は息を引き取った。  「誰が、、、、こんなひどいことを」  その時であった、「ぎゃー」と女性の叫び声が向こう側の廊下から聞こえてきた。諭と篠宮は恐怖のあまりなにもすることができず、そこで突っ立ってるしかできなかった。  大きな足音を立てながら、血だらけの大きな棍棒を持っている牛がこちらに向かって走り始めた。  諭と篠宮は全速力で血だらけで倒れている生徒を目の当たりにしながら、廊下を走り続けやっとの思いで校庭にでることができた。 だが、棍棒を持った大きな牛は走るスピードは遅いがいまだに追いかけて来ていた。  その時であった。黄色の液体が何処からか現れて牛の身動きを封じた。まるで、接着剤のようにべたべた粘着性のような液体であった。校門に赤い86が停まっていた。そこに黒いジャケットを羽織った女の人が立っていた。  「この車に乗って!はやくしないと、その接着剤の効力は一時的なものだから」  諭と篠宮は言われるがままに86に乗り込んだ。  「さあ、行くわよ!しっかり何かに捕まらないとケガするわよ」  その、女の勢いよくスピードを上げカーブを曲がるときはドリフトしながら走っていった。学校の建物が見えなくなってから、なんとか落ち着いたのだろうか普通で平常な運転に戻った。唐突に女は会話をし始めた。  「あーそうだった。自己紹介が遅れたわね。先ほど、電話した灰崎静根。よろしくね」  「あなたが、所長の姪っ子の吉田諭くんね。顔写真を先ほど拝見させてもらったわ。それとえーと、もう一人のあなたのお名前は?」  そう言って、篠宮は恥ずしく、顔を赤くしながら自己紹介をした。  「俺の名前は、篠宮信です。諭くんとは友人同士の仲で、、、、、」  静根はニッコリと笑ってこう言った。  「よろしくね。篠宮くん」  静根はそれから数十分間運転しながら、こう会話をし始めた。  「あの、先ほど見たモンスターみたいな奴は「コンスト」といわれている生物よ。地球のどこかで生まれて、世界中の人間たちに恐怖を脅かしている生物よ。それ以外の詳細は不明」  「多分、所長色々説明はあると思うから、、、、」  そう言って、静根は向かう場所を言わず、とにかく無言で運転をした。
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