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「後悔しないの?」
「絶対する...でも、リクとは一緒になれないから。」
一緒にはなれない、つまりは私との未来がないという事実をソラは俯きながら口にした。
もうすでに夜の23時を回っているというのに、そんな事を忘れさせるくらいの月明かりに照らされた彼の頬には、どういう訳か一筋の涙が流れている。
泣きたいのはこっちだ、なんて事を心の中で囁いた私の瞳は、自分でも驚く程に乾ききっていた。
「ならそうやって、いつまでも後悔して泣いてればいいよ。私は前に進むから。」
本当ならば、目の前にいる男の心を壊してしまうくらいに強く、そして氷のように冷たい口調で言い放ってしまいたかった。
だけどそれが出来ないのは、やっぱり彼を愛しているから。
そして、きっと悪いのは
私だから。
「うん...。ごめんね...リクは一生、俺の宝物だよ。」
数分前よりも多くの涙と鼻水で顔を汚しながらそう言ったソラの頬を両手で包み、そっと上を向かせると、真っ赤に充血した瞳と視線が絡み合った。
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