遠くへ行けない私

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 今日で29になった。30まで本当にあと一歩まで来てしまった。4年間付き合っている彼はいるけれど、まだ結婚の話は出ていない。次の恋をするにはエネルギーがいる。でもこのままだらだら彼との関係を続けていいのか私は迷っていた。  私は彼のことが好きだ。だから私は彼と結婚できたらそれが一番いい。でも彼がそう思っているかは分からないし、無理強いするものでもない。 「お疲れ、小夜。今日、誕生日だよね? これから飲みに行く?」  同期の咲良がエレベーターの前で待っていた私の肩を叩いてきた。私は少し考える。彼、海都は今日は仕事の飲みで遅くなるとは言っていた。私としては遅くなっても彼と会いたい。でも。 「あ、彼と過ごす約束か。無理しないで」 「うん。でも、彼遅いみたいだし、少しなら。私も一人で待つのは寂しいしね」  私は咲良の誘いに乗ることにした。
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