孤独

10/11
前へ
/37ページ
次へ
「それともう一つ。生きている人間とも会話などはできますね。」 「生きている人間?無理じゃないのか? 俺が霊になってから俺の言葉はどころか、存在すら確認してもらえないんだぞ。それをどうやって?」 今まで全くだめだったんだぞ?なんでそれを今さら? 「霊感のある人間を探すんです。」 「霊感?それは、霊が見えたり声が聞こえたりするあれか?」 「そうです。ある程度霊感の強い方でないと駄目ですが、あなたの声が聞こえる人となら話しもできるはずですよ。」 同じ霊か霊感のある奴を見つける、か。対象が2種類とおもうと気持ちが楽になった。 いざ探す時になったら、その辺の人間に話しかければいいんだしな。多少アホっぽいけど。 「そろそろ、失礼させて頂きますね。」冥も帰ると言ってきた。正直一人になるのは嫌だけど、彼女も彼女なりに忙しいのだろう。 「どこに帰るのか知らないけど、気をつけて帰りなよ。」 俺がこう言うと、冥は少しだけ笑って、 「死んだ人にそんなこと言われるのは初めてです。」 と言い、加えて礼も言ってきた。 「ありがとうございます。あなたのお友達探しがうまくいきますように。」 そう言うと冥は、やはり歩いて帰って行った。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加