六種目 つきあかり

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六種目 つきあかり

いつものように優美は、「ビックフォレスト」に来ていましたが なんだかいつもと雰囲気が違いました。 「いらっしゃい」 おばさんもいつものように元気がなく、厨房の奥でおじさんも なぜか涙ぐんでいるように見えました。 「おばさん、何かあったの?」 「ううん。心配しないで。何もないから。これからもしっかり ご飯、食べるのよ」 「やめてよ。おばさん。なんだかお別れみたいじゃない。」 そこに、佑翔もやって来ました。 「あら。佑翔くん。いらっしゃい」 優美は、おばさんたちの 様子がおかしいことを佑翔に伝えました。 「なんでだろうね。」 「おばさんは、何もないっていうんだけど…」 「お待たせしました。今日のお米は「つきあかり」ですよ」 「つきあかりかぁ…」 「つきあかりは、とても新しいお米よ。 お米も、どんどん生まれ変わっているのよ。それは、 人も同じよ。何度でも生まれ変わることができる。覚えておいてね。」 そう言ったおばさんを見て二人は、顔を見合わせました。 店を出るとき、おばさんとおじさんが外まで出てきてくれました。 おじさんが、「きれいな月だ。」と一言呟きました。 四人できれいな”つきあかり”に照らされながら、月を見上げるのでした。 次回 七種目(最終回) イノチノヒカリ
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