七種目(最終回)イノチノヒカリ

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七種目(最終回)イノチノヒカリ

昨日のおじさんとおばさんの様子が気になった二人は、 「ビックフォレスト」へ向かいました。 しかし、そこには昨日まであったお店がありませんでした。 「ウソ…どういうこと?」 「なんで…」 「夢…?」 「ねぇ、何だろうあれ。」 佑翔が指さした先には、おばさんとおじさんが着ていたエプロンが 落ちていました。おばさんのには【芽久美(めぐみ)】 おじさんのには 【清司(せいじ)】と名前が刺繍(ししゅう)されていました。 それを見た優美の目からは涙が零れ落ちていました。 「お父さん…お母さん…」 しばらく、優美は泣きじゃくっていました。 「落ち着いた?」 「私、イワシ苦手でね。お父さんはいつもプリンを仕事帰りに買ってきてくれていたの。」 「きっと、優美のことが心配で君の両親は姿を変えて 「ビックフォレスト」に君を導いたんだと思うよ。」 優美は空を見上げて、 「お母さん、お父さんありがとう。色々なお米を食べて、 どれも美味しかった。お米はどれも光り輝いていて 私たちを元気づける命の光なんだって気づいたの。」 「そして、佑翔くんとも出会えた。」 そう言って優美は微笑みました。 数年後… 優美と佑翔は、結婚して食堂を開きました。 店名は、もちろん「ビックフォレスト」。 「いらっしゃいませ~」 「今日のお米は、”イノチノヒカリ”です。」 「新しいお米だね。どんなお米なの?」そう聞く人に対して、 厨房にいる佑翔が出てきて 「イノチノヒカリは…」とまた熱く語りだすのでした。  二人は、あの名前が刺繍されているエプロンを着ていました。              END
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